太陽の次。

 

 蜻蛉の語源は、『飛ぶ羽根』に在ると謂う。

 或いは、『飛ぶ棒』とも。

 

 古くは〈トンバウ〉、と語し、その後、〈トバウ〉、〈トウバウ〉などと変化し、江戸の頃より〈トンボ〉と音するようになったとか。何よりも、蜻蛉は、何百年も前から、棒に翅が生えたような、羽根だけが飛んでいるような、そんな形態の儘、という事実が、妙に潔い。

 

 ふと思い立ち、『潔い』の語源も調べてみた。

 自然や風景が澄んでいるさま。

 

 為るほど、確かに、今の季節、蜻蛉は、無くてはならない存在である。

 だからこそ、『秋津』とも呼称されたのであろう。

 

 そう思いながら、〈津〉の字を眺めていたら、羽根を伸ばした蜻蛉にも観えて来る。

 

 もう、秋が終わる。

 

 今夜も、月が、綺麗だ。

 

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 栗名月と呼ぶには、ちいと遅し。