この世の果てなど、存在しない。

 

 伊那谷。

 

 長野県の南部を、二つの山脈に挟まれて南北に伸びる広大な地溝帯。

 『谷』と呼称されてはいるものの、地形的には『盆地』を広く有し、その中央に沿って流れる天竜川の、恰も、巨大で細長い揺り籠のような存在。

 

 私が、この『谷』を最初に観たのは、妻の実家を初めて訪れた時でした。

 

 彼女の生家は、大きな市と天竜川を挟んで隣り合わせた、掌よりはやや大きいグローブ程の村にありました。

 

 車に乗せて貰って走っている最中に、ふと眺めた山々の景色。

 まるでシャベルで盛り上げたかのような起伏に富んだ山の連なり。

 その更に向こうに高々と聳える青い山々。

 そのまた背後に、壁となって伸し掛かる巨大な山の峰。

 けれど、何よりも私の目を驚かせたのは、その遥か頭上に顔を出す雪を抱いた山脈の姿でした。

 雄大というより、或る種の恐怖すら覚えました。

 一体、これは、如何なる物の仕業か、と。

 

 まっ、それは大袈裟か。

 

 でも、まさか、その伊那谷に暮らす日々がやって来ようとは、夢想だにしていませんでした。

 

 さて、そんな夢幻郷での毎日も、はや1ヵ月。

 

 その間、様々な素敵な場所を訪れ、そこで素晴らしい方たちと出会いました。

 

 そうそう、『谷』の話をしていたら、つい最近、お邪魔した、こんな素敵な館をご紹介したくなりました。

 

 風の谷絵本館。

 

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 1階では、軽食と喫茶(と言っても、単なる『軽食』や『喫茶』ではありません。全て、館長さんの奥様が作られた本格的手作りオーガニック料理です)が愉しめます。

 

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 私は、ランチ、妻は、トーストのランチを頂きました。

 

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 美味い、超美味い、です。

 

 さて、中2階(いえ、半1階かな?)を通り、

 

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 右手の階段を上り、

 (あ、そうだ。ここでは入口で靴を脱いで、スリッパに履き替えます。だから、殆んど、誰かのお家に遊びに来たみたいな感じです)

 

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 途中で、振り返りつつ、2階に上がると、そこは、

 

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 絵本ぶんこ。

 

 どんな格好でも、どうぞ、ご自由に。

 

 私は、たまたま、手にした『にいさん』という絵本を読んで、不覚にも、泣きそうになりました。

 

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 ゴッホと、その弟テオの、素晴らしくも、哀しい、でも、何処か不思議な力強さを持った物語。

 

 いせひでこさんのとても素敵な絵本です。

 

 こんな出会いがある、絵本ぶんこです。

 

  でも、まだ、終わりません。

 

 この2階にある小さな梯子を上ると、

 

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 こんな屋根裏部屋に出て、

 

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 この屋根裏部屋の、この梯子を昇ると、

 

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  展望台です。

 

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 ちょっと曇りの、かなりな絶景です。

 

 因みに、地下は、かなり広いギャラリーになっていて、様々な企画展示がなされています。

 

 この館では、

 こどももおとなもけものもおばけもむしもへびもさかなもくさもはなもいしころもかわもみずうみもうみもほしもたいようもつきもかみさまだってあくまだって、

 この世のありとあらゆる森羅万象がひとつに会して私たちを待っています。

 

 また、みんなに会いに行こうっと。

 

 本当は、もっともっと沢山の方々を、次から次へと、ご紹介していきたいのですが、それはまた、追々、ゆっくりとしたスピードで。