あ。今日は、忘れなかった。

 

 謎。

 

 文字の形にしろ、その言葉の響きにしろ、

 非常に心地よい語感です。

 

 脳髄。

 宇宙。

 素数

 言語。

 精神。

 霊。

 生命。

 死。

 

 科学的根拠にしろ、実証性・反証性にしろ、経験主義にしろ、何処か、在るようで無い、無いようで在るモノゴトの説明しか成り立たない、この《世界》は、そんな隙間事象的な謎に満ち満ちています。

 

 そこまで自然科学的ではないにしても、私らのウチにも、仄かな謎が漂っています。

 

 この家には、誰が、住んでいたのか。

 この家の、本当の使用目的は何だったのか。

 玄関前のファサード屋根を支える柱に取り付けられた小さな金具。

 カメムシは、何処から侵入してくるのか。

 

 ま、どーでもいいことですな。

 多分。

 全部。

 

 宇宙だの生命だのと一緒にしては、いけませんです。

 

 或いは。

 一緒にするべきものなのか。

 

 何となく、

 〈家〉に怒られているような気がするのは、

 その所為でしょうか。

 

 謎を謎の儘、終わらせるのではなく、

 意識と興味を、持てと、

 静かに怒っているのかも知れません。

 

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 私は、夜を待ってます。